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Identification of Lesser White-fronted Goose
カリガネ識別資料
2.カリガネの形態と生態
〇 形態
・カリガネは,全長53-66cm,翼開長120-135cm,体重1.3-2.3kgほどで,マガン(全長65-86cm,翼開長130-165cm,体重 1.7-3kg)よりも一回り小さい.
・マガンよりも25%足が短いことも特徴的である.
・マガンでは風切羽の先端が尾羽と同等か少し長い程度であるが、カリガネでは、風切羽先端が尾羽を大きく超えている。
・頭頂部の特徴
(a) カリガネ成鳥では額の前の白い部分が,マガンよりも大きく頭頂にまで達している.
(b) 嘴は濃いピンク色で短く,上嘴が付け根で明瞭な角度をなし,頭部全体が台形に見える.
〇 カリガネの成幼の識別
カリガネの成鳥幼鳥の主な識別点は以下の3つである.
(a) カリガネの幼鳥には,成鳥で顕著な額の白い部分が欠けている.
(b) 胸から腹部の羽の先端部が「青海波(*)」のパターンになっている.
(c) 背中の雨覆羽は丸みを帯びていて,先端部の白線が不明瞭である.成鳥に見られる腹部の黒い斑は幼鳥にはない.
〇 生息環境
カリガネは,マガンに比べ食物の選好性が高く(Habitat Specialist),草丈の低い草本類を好んで採食する.宮城県では,多くの個体が伊豆沼および長沼周辺の農耕地で採食する.主な食物は,牧草地のアルファルファやイタリアンライグラス,畦に生えているスズメノカタビラやシロツメクサなどである.マガンの群れに混ざっている時でも,畦の上などで緑を保っている植物を中心に短いくちばしで先端部を摘まむように採食している.また,採食の間,マガンは立ち止まる時間があるが,カリガネは動きを止める時間がほとんどなく,採食時の姿勢や動きなども異なる.
宮城県で越冬する個体は,伊豆沼を主なねぐらとしており,厳冬期は登米市の平筒沼にもねぐら入りする.