日本の空に復活したハクガン〜故郷のウランゲル島の今〜
- Katsumi Ushiyama
- 9 時間前
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2025年11月26日、我孫子市鳥の博物館において、シンポジウム 「日本の空に復活したハクガン〜故郷のウランゲル島の今〜」が開催されました(主催:日本雁を保護する会、雁の里親友の会 、 共催:山階鳥類研究所、我孫子鳥の博物館)。
このシンポジウムには、ロシアから、45年の長きにわたってウランゲル島でハクガンの研究を行っているワシーリー・バラニューク氏(北ユーラシア・ガンカモ類作業部会)が参加しました。彼は、1993年に実施された「東アジアへのハクガン復元計画」では、ロシア側の計画参加者として重要な役割を担っていました。
このシンポジウムでは、復元計画に従事した日ロの研究者が復元計画を振り返るとともに、日本とウランゲル島のハクガンの現状を照らし合わせ、東アジアのハクガンの現在の姿を明らかにすることを目指しました。シンポジウムのプログラムは次の通りです:
開会あいさつ (佐場野 裕)
1.江戸のハクガン(呉地正行)
2.東アジアにおけるハクガン復元計画(佐場野)
3.ウランゲル島の思い出(柴田 佳秀)
4.日本で越冬するガン類の故郷を探る
~標識調査と発信器追跡~(澤 祐介)
5.ウランゲル島の自然とハクガン(バラニューク)
討論
閉会あいさつ (呉地)
バラニュークの講演では、ウランゲル島の生態系の変化と地球温暖化が、ウランゲル島でのハクガンの繁殖を促進さえる方向に作用し、ハクガンの個体数が増加していることが示されました。また、温暖化に伴いウランゲル島・米国間のハクガンの渡りルートが北極圏にまで拡大し、北米大陸中央から東部の個体群がウランゲル島に飛来することが容易になり、従来の西海岸の個体群とは異なる個体群が流入している状況が示され、このこともウランゲル島でのハクガン個体数増加をもたらす要因となっています。
1993年に実施されたハクガン復元計画以降、日本では毎年、定期的にハクガンが飛来するようになり、次第に個体数が増加しているのですが、特に2019年以降は著しい増加が見られます。この著しい増加の時期は、上記のウランゲル島での増加の時期と一致していて、さらに、日本には近年アオハクガンの飛来が記録さえるようになり、従来とは異なる北米大陸中・東部の個体群が流入している可能性があります。
このような状況から、ウランゲル島のハクガンと、日本に渡ってくるハクガンとは密接な関連があることが推察され、今後の課題として、日本に渡ってくるハクガンの渡りのルートの解明が待たれます。
シンポジウムの呉地会長の講演の冒頭には、11月16日に亡くなったN.ゲラシモフ博士 (ロシア科学アカデミー、カムチャッカ太平洋地理学研究所)を悼み、生前、日本と共同で行ったヒシクイの繁殖地・渡りルートの調査やシジュウカラガン羽数回復計画での業績が紹介されました。
(2025/12/18 佐場野 裕・記)






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